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県発注工事で談合疑惑②知事「運用に問題はない」

土木工事の入札際し、県に指名されることは簡単ではない。「うちの近くで出た工事なのに。あの工事になぜうちが指名されないのか」と業者がうめくこともある。いわば県土木事務所のさじ加減ひとつで指名(入札に参加できる業者)が決められていく。だから県には逆らえない。退職した県OBを雇うのもそのためだ。表向きには「高い技術を持っているから」と説明するが、そればかりではないことは当の業者自身が知っている。

2022年1月に須崎土木事務所行った入札の記録。14社を指名し、13社が辞退。事実上の1社入札となった。落札率は97.9%

「運用に問題はない」

指名した業者が入札を相次いで辞退するということは、指名そのものに問題があることを示している。十数社を指名しながら実質的な入札参加者は1社だけというようなことが起こっていいはずがない。ところが県須崎土木事務所の発注工事ではそれがたびたび起こり、しかも多くの場合、その1社は予定価格(上限価格)に近い価格で受注している。

そんなことが繰り返されれば県が調査しそうなものだが、県は問題視をしていない。地質調査談合の当事者を処分する際、浜田省司知事は「事業者は真摯な反省を」と怒りを込め、併せて「発注側の運用に抜かりがあるという明確な認識はない」と説明した。「発注側の運用」は土木や建設分野も含めてほぼ同じ。県がやっている入札に問題はない、と明言したことになる。

県自らが問題視をしていないから実質1社、2社入札が延々繰り返されるのである。

県内の各土木事務所の中で須崎土木事務所が行った入札の落札率(落札価格を予定価格で割った率)が異常に高い(高知土木事務所の約90%に対して約95%)ことは県のホームページを見ても分かる。それでいて「発注側の運用に抜かりはない」と公言するのは、問題はないし見直すつもりもない、ということだ。なぜなのか。考えられるのは、県そのものがこの構図を主導している疑惑である。受注調整(談合)し合える会社だけを県が指名しているのではないかという疑惑。官製談合疑惑である。

2022年3月に須崎土木事務所が行った指名競争入札の記録。事実上の1社入札となって予定価格4522万円の工事を4300万円で落札している。落札率は95.09%

2022年2月に須崎土木事務所が行った入札の記録。指名14社のうち12社が辞退。参加2社のうち1社は上限の予定価格で札を入れ、残りの1社が落札率94.89%で落札した

 

3分の2の入札に疑惑?

2022年の1月から3月にかけて須崎土木事務所が発注した土木工事を分析してみた。

指名競争入札で発注した工事の数は60あり、うち最低制限価格でのくじびきとなったのは14工事。率でいえば23.3%だった。県や公正取引委員会的にいえば、これが全く問題のない入札となる。

では疑惑を持たれる入札とはどのようなものか。分かりやすい指標として「辞退が多い」と、「予定価格に近い価格で落札」の合わせ技を中心に取り出してみる。と、約40の入札が当てはまった。3分の2の入札に疑惑があるということだ。落札価格を予定価格で割った落札率は94%台から96%台までが多い。中には98.34%の落札率もあった。

最低制限価格でのくじ引きが23%あるということは、談合をよしとしない業者が少なからずいるということだろう。そのような業者を常に指名に入れていれば、おそらく談合は消えていく。しかし実際は、辞退による実質1社入札や実質2社入札が目立つ。指名した業者の多くが辞退するということは指名業者の選定を誤っているということだ。

2022年1~3月の入札を見るだけでも、指名14社のうち13社辞退が5回、14社のうち12社辞退が8回、12社のうち11社辞退が2回、16社のうち14社辞退が1回あった。

 

浜田省司高知県知事。総務官僚から知事に転身し、現在2期目(公式サイトや県のホームページより)

 

知らないはずがない

ただし、辞退の数だけでいえば、高知土木事務所が行った指名競争入札もかなり多い。違うのは残った業者の本気度だろう。高知土木管内の場合は残った業者で最低制限価格のくじを引くケースが多い。ところが須崎土木事務所ではそうはなっていない。残りの業者が予定価格に張り付いた札を入れ、落札業者はそれより少し低い価格で札を入れる。そんなケースが少なくないのだ。

もちろん疑惑は疑惑であって、クロではない。まったくのシロかもしれない。問題は県のスタンスだ。つまり、落札率の高さや辞退の多さを県が問題視していないことである。地方の土木事務所だから目が届かないのかといえば、それは違う。知らないはずがない。そればかりか知事のおひざ元、土木政策課の入札にも疑惑を持たれかねないものがある。次回はそこら辺りを。(依光隆明)辞退が少なければ問題ないかといえば、即断できない入札記録もある。これは2022年1月に須崎土木事務所が行った入札の記録。指名10社のうち辞退は2社だけだが、参加8社はいずれも予定価格近くで札を入れた。落札業者の落札率は96.97%。

(C)News Kochi(ニュース高知)

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