2024年8月8日夜、気象庁が「巨大地震注意」の南海トラフ臨時地震情報を出したことについて、南海トラフの地震に詳しい高知大名誉教授の岡村眞さん(75)は9日朝、「1週間は注意する必要がある。それは科学的に明らか」と述べた。以下、岡村さんの話を掲載する。(依光隆明)
300回に1回の大破壊
今回の地震によって科学的には南海トラフ地震の発生可能性が若干高まっています。問題は若干の中身ですが、「300回このようなことがあれば1回は大破壊につながる」という確率です。世界で過去、1400回で5回くらいそういうことが起こっています。地震波のデータはまだ100年分しかありません。それだけで判断したらとんでもない間違いをしてしまう。だからデータ収集を世界中に広げて、そのようなケースが世界でどれくらいあったかを調べて確率計算をしているのです。それが「300回に1回」です。
東側で小さい地震が起こるとやばい
前回の南海トラフ地震からもう79年たっているわけですから、(想定震源域の)全体が緊張状態になっています。そんなときに1カ所だけ「お先に」って力を取っちゃうと、そこへ向かって(力が)動いてきます。それによって隣の領域まで破壊が進行していかないかどうかを今は毎日見ています。このままなにもなければ、つまり破壊が広がっていかなければ注意報を解除できますが、もし今日明日明後日と、だんだん東側にちょっと小さい地震が起こってきたりすると、うん、これはちょっとやばいぞって話になる。それを1週間ぐらい見ましょうということです。
1週間という期間はそれなりに根拠があって、今回のようなマグニチュード(Ⅿ)7.1の場合は1週間くらいなんです。本震の影響によって周りが動くのが余震ですが、Ⅿ7だと大体余震が1週間続きます。Ⅿ7.5になるとそれが1カ月。能登半島地震みたいに7.5を超えてしまうと3カ月ぐらい余震が続きます。(Ⅿ9の)東北の地震は10年続きました。余震が収束すれば今回の一連の地震は終わったと宣言できます。
マグニチュードと余震の相関性
破壊領域が大きければ大きいほどその周辺領域も大きく、トータルの余震活動は活発になります。今回はⅯ7.1だったので、大体1週間で破壊領域が拡大するか、収束するかが分かるのです。日本では何千回とこのクラスの地震が起こっているので、マグニチュードに応じた余震の継続時間は非常にきれいな関係になっています。だから余震の継続時間は1週間くらいだと分かります。
1週間の根拠について、気象庁ももう少し国民に分かりやすく説明すべきだと思います。