中山間

新聞炭鉢使った草花の世界 12日まで北川村で「炭丸展示会」

高知県の東部、北川村野友甲にある小規模多機能施設「ゆずの花」で5月7日(水)から12日(月)までの6日間、オリジナルの新聞炭鉢を使った「炭丸SUMIMARU」展示会が開催されている。9時~17時。最終日は12時まで。(インターンシップ研修生、来川光輝)

会場となった小規模多機能施設「ゆずの花」(北川村野友)

「新聞炭鉢をつくる会」が主催

主催は北川村木積(こつも)の陶芸家、新田文江さんが代表を務める「新聞炭鉢をつくる会」。新聞炭鉢とは、古新聞を水に溶かし器型に成型して窯で焼いたもので、植物の生育に適している。展示会には村内の会員に加え、安芸市や高知市の会員も参加しており、県内さまざまな地域の草花が炭鉢に植わって一堂に会する姿は壮観だ。

炭鉢にイワマツを植え付けた作品。小さなユキノシタもアクセントに、存在感を放っている

 イワマツが炭鉢割る⁉

北川村内の女性は、イワマツの盆栽炭鉢を展示した。石垣に生えていたものを「これを植えたら?」というご主人の鶴の一声で「引っこ抜いた」とか。なんともパワフルだ。しかしイワマツ自身も相当にパワフルだったようで、植えた炭鉢が割れてしまった。

なかなかのアクシデントにもかかわらず、女性は「そんなところも可愛らしい」と笑顔でイワマツを見つめる。「だから、ヒビをイワマツの葉で隠してあるの」と楽しげに教えてくれた。

新聞炭鉢を覆いつくした苔。これほど苔むすまでに2年かかったという

土や苔の感触を味わいながら

展示会の雰囲気は何とも楽しげだ。木材に囲まれた開放感のある施設の中で、炭鉢の植え込みも生き生きしている。

総点数は100点余り。山野草を中心に、カエデ、ヤマアジサイなど小さな樹木を盆栽のように植えた作品もある。

筆者も過去に炭鉢の植え込み体験に参加したことがあるが、日常に存在する植物に注目し、土や苔の感触を味わいながら植え込むのはとても新鮮で、面白かった。この展示会の参加者たちも同様に、明るい気持ちで炭鉢植え込みをつくっているのだろう。

「炭鉢をつくり、広めたい」と語る「新聞炭鉢をつくる会」の新田文江さん

発端は「バイオカーボン」

新聞炭鉢は、高知工科大学の坂輪光弘教授が作り出した「バイオカーボン」(木質素材を炭化させ付加価値をつけた新材料)を使って安芸市の福祉施設「ホップ安芸」で勤めていた内藤さんが開発した。それに『野草を植え込む』という更なる付加価値を与えたのが、新田文江さんだった。

新田さんは2023年5月に火災に遭い、自身が営んでいた「こつも焼き」の工房を焼失した。現在は修復されたガス窯で新聞炭鉢を焼き上げている。=工房焼失からの復活は以下の記事に詳しい。https://newskochi.net/kotsumo

切り株に乗った新聞炭鉢。ぐんと伸びたヘビイチゴの自然な姿が映える

目標は全国に広めること

新聞炭鉢は北川村ぐるみの事業でもある。「新聞炭鉢をつくる会」と並行して、モネの庭や炎(ほむら)会、中岡慎太郎先生顕彰会など五つの団体と共に、新聞炭鉢を全国に広めることを目標としている。そのためにも、窯の扱いをレクチャーしたりと「(スタッフの一員として)会員さんにも力をつけてもらっています」とのことだ。「モネの庭での鉢植え体験の企画を持ちかけていて、他にもふるさと納税の返礼品にもしたいと考えています」。全国に広めようと勘案する新田さんには、もう一つ、新聞炭鉢を通じた望みがある。

ずらりと並ぶ作品群。新聞炭鉢の名前は「こつも炭丸」

「体験、大いに歓迎です」

「炭鉢づくりや植え込み体験を通じて、木積に来てもらって、『いいところやね、ホッとするね』って、地域を体感してほしい。炭鉢づくりや植え込み体験がしたい方、大いに歓迎です。ぜひ申し込んでください」

まっすぐこちらを見据えながら、笑顔で語った。

問い合わせ、連絡は「新聞炭鉢を作る会」の新田さん(090-7784-8528)へ。

展示会の会場。お茶を飲みながら作品談義も(北川村野友)

(C)News Kochi(ニュース高知)

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