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高知市とシダックス①指定管理をめぐる疑惑

高知市上町の坂本龍馬生誕地近くに「高知市立龍馬の生まれたまち記念館」が立っている。2022年4月からその指定管理を担うのはシダックス大新東ヒューマンサービス(本社・東京)なのだが、2023年12月になって同社が申請資格を満たしていない疑惑が浮上した。どういうことか。(依光隆明)

坂本龍馬の生誕地近くにある高知市立龍馬の生まれたまち記念館(高知市上町)

申請資格は「高知市に営業所を置くこと」

シダックス大新東ヒューマンサービスは放課後児童クラブや学校給食の運営、自治体施設の管理などで実績を上げている。本社は東京都渋谷区のシダックス・カルチャービレッジにあり、2023年3月期の当期純利益は13億4千万円。窓口業務や給食調理、保育園事務、清掃などを内容とする自治体の包括業務委託にも力を入れている。

同社が県内2社を抑えて「龍馬の生まれたまち記念館」の指定管理を受託したのは2021年度だった。坂本龍馬は高知県民の誇りであり、「龍馬の生まれたまち記念館」は桂浜の「県立坂本龍馬記念館」と並んで龍馬ファンの聖地となっている。シダックスが選ばれたとき、それを知った少数の市民(多くの市民は知らなかった)は「龍馬生誕地の施設を県外企業に任していいのか」という声を出した。審査委員会の約半数を市の幹部が占めたうえ、審査過程が全くのブラックボックスだったこともあってその声は熾火のように残り続けていた。

募集要項にある「申請資格」は「高知市に本社、本店、支社又は営業所を設置していることとします」と明記されている。申請時点で同社は高知県内に営業所を持たなかったが、この申請資格には「指定管理期間の始期までに作ればOK」とも書かれていた。指定管理期間は2022年4月1日から3年間。シダックスの指定管理に眉をひそめた市民も、指定管理が始まるまでにシダックスが営業所を作っているものだと思っていた。というより、そんなことすら守らない企業がいるとは想像もしなかった。

龍馬の生まれたまち記念館。ここにシダックスの営業所がある、と市は主張している。

「指定管理施設が営業所です」

シダックス大新東ヒューマンサービスは2023年10月に行われた「高知市立自由民権記念館」の審査でも県内1社、県外2社の争いを制し、2024年4月からの指定管理受託を決めた。市のホームページによると、その際に高く評価されたのは「龍馬の生まれたまち記念館」の指定管理。つまり同館の指定管理を市が高く評価したことが決め手となって「自由民権記念館」の指定管理を取ることができたとみられている。ところが…。

「自由民権記念館」の指定管理をシダックスに任せる承認議案が出た高知市議会2023年12月定例会がにわかに紛糾した。シダックスが高知市内に営業所を設けていないことが明らかになったのだ。同社のホームページを見れば分かるが、シダックス大新東ヒューマンサービスが営業所を置いているのは四国では高松市と松山市だけ。本社に確認までしてその事実を突き止め、「こんな単純な申請資格違反を見逃したのか」と追及する議員に、市は驚きの答弁をした。「シダックスは『龍馬の生まれたまち記念館』に営業所を置いています。何ら問題ありません」

次回は市が主張するかなり驚きの理屈を。

 

(C)News Kochi(ニュース高知)

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